「俺この前階段から落ちたけど怪談の話しね?」


「第一回、怪談大会〜!」

ドンドンパフパフ!!

どこからともなく鳴り響く楽器の音。周りに奏者はいない。

「怪談大会だあ〜。なーにをとち狂った事言ってやがんだ。暑さで頭でもやられやがったのか」

そう言うのはこの場でもっとも年が高いライナスといういかついおっさんだ。
世間の女性になぜかもてているのだが意味が分からないなぜこんな笑うときは快活にガハハと笑うこのおっさんがもてるのか全くもって意味が分からない。

「へっ、おっさんはおっさんらしく酒でも飲んで突っ伏してやがれってんだ。それともなんだ?まさか怖いってわけじゃねえよな〜。そんな年にもなって怪談が怖いなんていったら笑いもんだぜ」

「怖い?ガハハ!笑わせる。昔はよく百物語のライナスと呼ばれたものよ」

根拠はない。

「だったら、ライナス。あんたが最初にやってくれよ」

「いいだろう!怖すぎてちびんなよ」

ちびるわけないだろ。

「ゴホン。――じゃあ始めるぞ」

場の雰囲気が一斉に静まる。ライナスはそれを感じ取ると、


「あれは、俺がまだ20代の頃だった。いつものように酒場の宿で寝泊りしてたんだが、その日に限って宿に戻ることが出来ず、森の中で野宿することになったんだ」

『今日は深くもぐりすぎてしまったな』

『ああ、だがそれだけ成果も得たさ』

『確かにそうだな』

俺たちは森の中を探索中、ある海賊の宝箱を発見した。なぜ海賊と分かったのかだが、それは簡単な話宝の周りにそれと分かる白骨死体があったからだ。
で、当然俺たちはその宝箱を持ち帰ったわけだ。

『それにしてもライナス。その箱の中って何が入ってるんだ?』

『さぁ。でも金銀財宝なんじゃないのか?海賊だし』

『開けてみろよ』

『えっ、リューユが開けろよ』

『嫌だよ。俺呪われたくないし』

『俺もだよ』

この頃海賊の宝箱を開けると呪われるっていう噂が流れてたんだ。まぁ、それをこのときの俺たちは半信半疑だったわけだ。

『しょうがないどっちみち持って来たんだ。開けるしかないだろ、おいライナス、一緒に開けるぞ』

『……まぁ、一緒だったら』

『いっせーのっせ』

箱の中に入っていたのは確かに金銀財宝は入っていた。だがそれ以外にも一枚の写真が入っていたんだ。

『何の写真だ?これ。集合写真か?』

写真に写っていたのは一人の女性と海賊達。仲良さそうに写ってるのを見ると知り合いだったのだろうと思った。

『でもなんで写真なんか入れてるんだろうな』

『さあな。こいつらにとっちゃあ宝物だったんじゃねえのか?』

その時突然風が吹いてな、写真が焚き火の中に落ちたんだ。

『あーあ、燃えちまったな。どうする?』

『どうするったって、燃えてなくなったものはどうしようもないだろ』

『そりゃ、そうだがちょっと不気味だと思わないか?』

『ガハハ、何だリューユ。お前幽霊などという類を信じているのか』

『そういうお前こそ、口では虚勢が張れても膝が笑ってるぜ』

一瞬ばかりの沈黙が流れたな。その沈黙を破ったのはある声だった。

『……よくも……』

『ん?なんか言ったか?リューユ』

『お前が言ったんだろ、ライナス。俺は何も言ってないぞ』

『はぁ?じゃあ、一体誰が』

『……よくも燃やしたわね…』

『またなんか聞こえたぞ。それもなんか女の人の声っぽいのが』

『き、気のせいだろ。今この場は男だって一人じゃ滅多に入ってこないんだぞ。女が入ってこれるわけがない』

『でもよ、声が聞こえたんだぜ。燃やしたわねって。お前だって聞こえただろ』

『そ、そりゃそうだが。だがありえねえだろ』

『……よくも……』

声は聞こえる、だが姿は見えない。辺りは不気味な空気が支配していた。

『お、おいライナス、火が消えたぞ』

『落ち着けリューユ。風が吹いただけだろうそんなビビくる必要はないさ』

ガサガサガサ

『なんだ!?急に草木が騒がしくなったぞ』

まぁ、結局その日はその後何も起こらなかったんだ。んで、翌日。

宿にリューユの姿が見当たらなかったんだ、一緒に来たはずなのに。

『リューユ、おいどこいった』

呼んでも呼んでも一向に返事が返ってこなかった。俺は先に部屋に入ったのだと考えて部屋にはいることにした。

『はぁ、今日も疲れたな』

だが、部屋になぜか鍵が掛かっていたのか扉が開かなかった。面倒だと思いながら店主から部屋の鍵を借りて戻ってきてみたら、どういうわけか部屋の扉が開いていた。
不思議に思いながらも部屋に入ってみたら、入り口近くにあいつのリューユの死体がぶら下がっていた。

『は?一体、……これは一体どういうことだ』

全てが全て不可解だった。わけが分からずその場に尻餅ついちまった。リューユの体にはでかでかと写真を燃やした者は殺すそう書かれていた。

逃げなきゃと思って後ろを振り向いたらそこには一人の女が

『よくも写真を燃やしたわね!!』


「以上だ。どうだったよ?」

「……っ、おいお前達。すぐ出るぞ」

「んあ?なんだって?」

ライナスに聞こえないくらいの声で言ったためライナスには聞こえてはいない。

「なんでもねぇよ。ちょっと夜風浴びてくんよ」

「ん?ちびったか。ガハハそんなに怖かったか、おい」
「そうだな」俺は適当に言葉を濁して早々に離れた。酒場に残ったのはライナス一人。

「あれ、皆行ったのか?なんでぇなんでぇ皆怖がりだな」

「……そうですね……」

「おお、一人残っておったか。お前もそう思うか。ガハハ。ん?いねぇじゃねえか」

「……よくも……」

「ん?」

「よくも写真を燃やしたわね!!」


「なんだあれ怖すぎだろ。話の途中からライナスの後ろに急に現れたんだからよ。まぁ、ライナスなら乗り切れるだろう。俺たちは早く聖剣を見つけださねぇとな。行こうぜ」


その後ライナスはパーティーに戻ったとか戻らなかったとか

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