第一話「Accident-アクシデント」

この物語はいつから始まったのだろうか。
初めから俺の運命に組み込まれたものだったのだろうか。
如何様な行動を取ろうと天文学的確立で、この物語を無視することは出来ない設定になっていたのだろうか。
それとも俺達にとってこの物語は偶発的に起こってしまったことだったのだろうか。
ただ少し運が悪かった。ただそれだけのことで俺達はこの物語を始めることになったのだろうか。
あと少しでも運が良ければ、俺達はこの物語を始めることはなかったのだろうか。
あるいは運が良ければ始めることがなかったのだろうか。
しかし例え、運命で決められたことだろうと、無視することが出来なかったことだろうと、偶発的なものだろうと、運の良し悪しだろうと、既にこの物語は始まっていた。そこに回避できた、回避できない。などという論議は最早意味を成さないことだろう。
論点が凄くずれてしまった。
この、不可思議で不理解で不明で不快な物語の始まりは、ほんの些細なことだったのだと思う。

「お、福引やってるぜ。しかも一等は世界一周旅行だってよ。こりゃやるしかないよな」
「勝平、お前は福引券を持っているのか?」
「あ、私福引券持ってるよ」
「なぜ持っているんだ、祥子」
「ん〜、たまたま。道路に落ちてたから」
「サンキュー祥子。んじゃ行こうぜ」
この日、俺達は大学の授業も終わり、いつもの3人で帰っていた時のことだ。
帰り途中で俺、木戸勝平は福引を見つけて非常にやりたくなった。
だが、親友の神谷圭吾に指摘されたとおり俺は福引券を持っていなかった。しかし、妹の木戸祥子が偶然持ち合わせていた。祥子、流石俺の妹だぜ。そんなわけで俺達は福引をすることになったわけだ。
「おばちゃん、一回やるぜ」
福引券をおばちゃんに渡す。
「はいよ。一回だけ回しな」
「よおおし、当・た・れ一等!!」
勢いよくガラガラ(仮)を回す。
「うぉおお当たれ〜!」
俺は必死に念を込める。
ストン。
玉が落ちる。
運命の瞬間。
果たして色は・・・?
「おめでとうございま〜す。一等世界一周旅行でーす!」
「よっしゃあ!やったぜ圭吾、祥子」
こうして俺達は見事一等を当て、今週末に行くことになった。期間はどうやら26日らしい。
この時俺達は26という数字に違和感を持つことはなかった。


「それにしても、まじで行くんだよな。まるで夢みたいだぜ」
「そうだな」
「わーい、たっのしみー」
順々に飛行機に乗る。
飛行機は離陸を始め、空に飛び立った。

数時間後、俺達が乗った飛行機はある島に不時着した。
原因は後部の爆破らしい。




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