第1話「始まりは突然空から降ってくる」
そう、それはいつだったか。確か私が友達と下校中、だったかな。
「ねぇ、真美。今回のテストどうだった?」
これは私が言ってる言葉だ。
「う〜ん、いまいちだったよ。香奈はどうだった?」
そして、これが私の友達の鈴木真美。
香奈とは私の名前のことだ。
「私も微妙だったよ。はぁ、頭がいい人の気持ちが知りたいよ」
「例えば?」
「そうだねー。例えば、朽木麟とか」
朽木麟。常に学年トップを張る「学校のテストで満点を取れない奴の気持ちが分からんな」が口癖の男子だ。
「確かに。それは分かるよ」
「だよねー」
などという他愛のない会話を交わすいつも通りの感じだった。
「ところで、香奈は文系と理系、どっちに行くの?」
「う〜む、まだ決まってないんだよね。期限っていつまでだったっけ?」
「確か今週中だった気がするよ」
現在高校一年である私は、もう二年のときのことを考えなくてはならない。まぁ、それは当然なのだが。なぜなら今の季節はもう冬。しかも二月。
決めてない奴がありえないという時期なのだ。
「でもな〜、まだ私将来何をしたいかとかないんだよね。だからどっちを選んだら良いのかも分かんない」
「私だってそうだよ。何をしたいのかとか全然ないんだもん」
「はぁ、なんかこうすぐに決まるようなことってないのかな?」
そう言った時だった。
何かが突然空から落ちてきたのは。
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