第4話「なかったことには…」
いつも通りの放課後。私と真美はいつも通り他愛のない会話をしていた。
「鈴木先生ってさ、どうしてあんな硬いのかな?」
鈴木ってのは私達のクラスの担任のことだ。
「さぁ?体の構成が3分の1は石で出来てるんじゃない?」
「だとしたら大事だよ、それ」
苦笑して真美はそう返す。
「まぁ、冗談だよ。鈴木って独身だよね?」
「確かそうだったと思うよ。それがどうかした?」
「いやぁ、結婚してたら分からなくはないかなって思ったんだ」
そう、誰にも好かれようとしないのは、浮気しないためって考えたらすんなりいくかなって思ったんだけどな。
「あれが元の性格なのかな」
「かもね〜」
話題が尽きたころ、どこからかメロディが聞こえた。
「ねぇ、真美。なんか変な声が聞こえない?なんか気持ち悪いような」
「えっ、気のせいなんじゃない?」
「そう、かな?」
真美にそう言われて私は気のせいだったのかなと思った。
だが、音は次第にどんどん近づいてきていた。
一体どこから?
「……〜〜ラララ〜」
「やっぱり聞こえるよ!」
「ラララ〜私は片足好きな男〜止まることはない〜」
現れた、変な歌とともに。そんなことより変だったのは男の走り方だった。
常に片足走り、見ていて気持ちが悪い。
ドッゴオオオン
男は壁に激突したが、男に怪我はなく代わりに壁が粉砕された。
「ああ、楽しいな。まぁ、冗談だが。さて、ようやく見つけたぞ小娘」
男は平気な顔で私を見てそう言った。
その男の頭を見て私は思った。
ああ、ソフトクリームが食べたいな、と。
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