第9話「まるでゴキ○リ…。」
「いつまでもいつまでも、同じ手を食らうと思うなよ。小娘」
無残な姿になったはずの変態は、まるで何事もなかったかのように立ち上がり、話し始めた。
その姿を見ると、どこにも出血した場所はなくさっきの姿こそが幻だったといわんばかりに無傷だった。
「貴様らはいつも冒頭で俺様の存在を無視するからな。今回は潰させてもらった」
くっ、流石に2回もすればいくら馬鹿でも学習するか。でも、それはすでに予測済みだ。
方法は至ってシンプル。それは完全なまでにあの変態を無視すればいいってことだ。
真美のほうを向いて話しかけようとした。だが、
「いい加減私達に付きまとうのは止めてくれませんか。非常に迷惑です」
…………
唖然とした。真美のこの行動は全くの予想外だった。もしかして真美には変態3か条なるものがないのだろうか。
一つ、注意を促してはいけない
これは正に基本中の基本なのだが。でも、過ぎてしまったことだ今更どうしようもない。
しょうがない、今までどおりやりますか。
「迷惑?ふん、貴様らごとき凡人にこの俺様が目をかけてくれたことに、感謝はあれども邪険に扱われるいわれはないわ」
なんて上から目線!ああ、もう本当にこいつと対峙していると鳥肌が立ってくる。
私はぐっと拳に力を入れた。
変態の退治方法は一つ。有無を言わさず殴り飛ばす。これ一点に限る。まぁ、因みにこの方法は私みたいな一撃の下に人を倒せるという自信がある人にだけ使えるものだ。
他の人は存在自体を無視して脱兎の如く逃げるに限るとにかく逃げるそれだけだ。
「あんたみたいなやられ役はどうしてこうもしぶといかね。まるでゴキ○リみたいに」
「俺様がやられ役だと・・・?ふん、今までの俺と思って対峙していると痛い目にあうぜ」
むっ、なんかいやに自信があるようだ。見えもしない幻想でも見えているのだろうか。
まぁ、私としてはそう思っていただいたほうが楽ではある。いやむしろ超楽だ。
「すぐに終わらせる!」
私はいつもの如く変態に真っ向から突撃する。私に武器はないあるとすればこの身一つ。
対して相手はどんな手があるのかもしれない何故なら今まで2回こいつをぶっとばしたがただの一度すら私は攻撃を受けたことがない。
いや、一度だけあったか前回の意味不明の攻撃。あれを攻撃と分類すべきか迷うところだが精神攻撃と捉えたら分からないわけではない。
だが、私にはこいつが攻撃できない理由を知っている。だから私はこいつの言葉を信じない。
「はぁああああああああ」
攻撃範囲に入った瞬間、変態は急に叫んだ。
だが私は気にしない。そのまま拳を一気に振りぬいた。
「ぶっっぱああああああ」
案の定私の拳は何の抵抗もなく変態を殴り飛ばした。
「お、オカシイ、あれが効かないとなどとそんな、ばかなはなs」
うーむ見事なやられっぷり。流石やられ役の名を背負うだけはあるな。それにしても
「ねぇ、真美。この変態どうする?」
「どうするって?」
「埋めるとか、磔にするとか、重石をつけて東京湾に沈めるとか。とにかく動けなくしたほうがいいんじゃないかなーって思って」
「そんな酷いことするの?」
うわっ、なんて目で見るんだ。捨てられそうなチワワのような目を私に向けないでくれ。
「〜〜、はぁ、面倒だけどしないでおくよ。真美に嫌われるのはいやだし」
それにしてもこいつは一体いつまで私達に付きまとうのだろうか。正直もうすでに嫌気がさしてきてるのだが。
私達は今日も変態を放置して帰るのだった。
あとがき
ピッヨオオリでーす。
まずは裏話。
今回のタイトル、セリフから抜粋したものです。ということはお気づきになりましたでしょうか?
因みにあれを選んだのは単に他にインパクトのあるセリフがあれしかなかったということなんですがw
見所はなんといっても変態ですね。最初に知的プレーを見せ付けたにも関わらず結局無様に敗れ去るという。
正にお笑い担当キャラですねw
じーかい予告。
「な、なるほどそんな謎だったのか!」
ついに変態が町の秘密を知る!
「え、この感情は一体何?」
香奈が変態に対して芽生える感情とは!
次回物語が急展開を見せる!
獅子裁第10話「止まらない想い、これって恋…?」
ありえない展開を君は知る!
まぁ、冗談です。次回はついに二桁!だからってなにもないけどw
ではまた次回
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